日々-55

 

とある7日間の日記。

 

14.-----

内見へ。普段使わない部分の脳と体を使っている。本当にここに住むのだろうか、なんて思いに耽る余裕もないスケジュール。わりと移動距離があり、不動産屋さんとは社交辞令も天気の話もし尽くした。だが、話題に困る前に、ひたすらこのまちの美味しいお店を教えてくれた。20軒くらい。

一旦心を落ち着かせよう。もう船もないし、今日はゲストハウスに泊まる。早速教えてもらった居酒屋さんへ。ああ、これだ、と思った。忘れていたことを思い出した。美味しすぎて半泣きで食べた。1人打ち上げ。お疲れ様でした。


15.-----

やるべきことと決めるべきことは山積み。家はここに決めます、と連絡を入れて一旦深呼吸した途端。駅にあったストリートピアノで、ある曲を弾く女性が現れた。
びっっっくりした。誰かのサプライズかと思った。自分にとって大切な曲で、神がかったタイミングすぎる。こんな偶然は、ただの偶然。神のしわざにすることもできるけど、これは目の前の生身の人が起こしてくれた偶然。その方と思いがけない話をした。
夜は、島の仲間にお呼ばれして、鍋パーティー。美味しくて、心地よくて、人の家でこんなにくつろいでしまったのは初めてだ。誕生日まで祝ってもらい、こんなに幸せでいいのだろうかと思った。


16.-----

今日はわたしの誕生日。日付が変わる瞬間は、軽トラの荷台にいた。夜空が綺麗すぎる。星が。本当に星が。生きていることが怖くなるくらい美しかった。
つつがなくいちにちを終えて一安心。夜は、一緒にと約束していた仲間としっぽり過ごした。わたしは、これまでの人生に全く悔いがない。だからこそ、これからも続けなければならないと思った。


17.-----

とある作品についてひたすら語り合う時間が生まれる。どうもわたしの性格がややこしくしているのだが、シンプルなことにわざわざつっかかっている気がする。だが、それをも受け入れる作品の器には一生勝てない。
明日は風で船が欠航するかもしれない。それならお休みになるかも、なんて台風前の小学生みたいな気持ち。商店にみんなで買い出しに行った。

 

18.-----

動く船もあるということで、今日はお仕事。警報が出なかったときの小学生みたいな気持ち。とはいえ、人が全然こない。普段できない掃除をしていたら、思いっきり頭を打った。2回。今日のおみやげはたんこぶ。


19.-----

寮の仲間で最後の鍋パーティ。食材を持ち寄り、それぞれにできることを分担する。美味しい。楽しい。満たされるということ、どうすれば人が、自分が幸せであるかということ、なんて考えるな、今をそのままで感じておきたいのに。皆、時間を引き延ばすかのように夜中まで起きていた。


20.-----

長らく時間を共にした仲間が旅立つ。ずっと気にしないようにしていた寂しいの気持ちをごまかせなくなった。

 

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