とある7日間の日記。
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寮の仲間を見送る。また会える、とわかっているのに、もう会えない気がしてしまうのはなんなんだろう。時間が進むことの容赦なさ。そのあと、やるべきことに追われて船に乗るも、船はいつもと同じようで、それもまた。
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勤務も明日で終わり。職場の仲間と普段話さないことを話していたら、また新たな発見があった。仕事のこと、暮らしのこと、好きなこと、わからないこと、わかりたいこと。たくさんのことに、自分のまま向き合える日々だったと思う。
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最終出勤日は、終礼で軽い挨拶をすることになっている。言いたいことまとめて、脳内シュミレーションは完璧だったのに、いざその時になると「めっちゃ楽しかったです!ありがとうございました!」しか言えなかった。でもいいんだ。用意したものより、その時の気持ちがほんとう。というか、用意したからこそ言えた。
寮で最後の夜。お茶しようと言ってくれて、しっぽりと2人で語り合う。ほんとうに、想像できないほど濃い半年間だった。わたしはこれでよかったのかななんて不安はもうなくて、生きていてよかった、と思う時間ばかりがすぎた。
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最後の島観光。ずっと登りたかった山へ。島で一番高いところからみる景色を目に焼き付けてきた。
寂しいからこっそり島を出ようと思っていたのに、乗る船の時間を間違えて計画していたという。ポカミスがバレて島の仲間が見送りに来てくれた。暗い中、スマホのライトをつけて見えなくなるまで手を振ってくれた。ありがとう。また来るね。というか、寮に忘れ物したから、またすぐ来るね。
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信頼している美容師さんに髪を切ってもらい、また気持ちを新たに。ふと思う、もっとゆっくりと動いても時間の進み方は変わらないのに、もっと話したい人も会いたい人もいるのに、何をバタバタしているんだろう、と。
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どうしても行こうと思っていたお祭りへ。自分の原点のような場所とか人とか景色を思う。
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人との約束を果たしに町へ。またね。寂しいけど、またすぐ帰ってこれるよね、と思う。
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住民票を移し、免許更新を済ませ、さあ出発。
帰ってこれるとはいえ、わたしに帰る場所なんてあるんだろうか、と少しだけ感傷的な気分になる。
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レンタカーに乗って、賃貸の鍵を受け取って、新天地へ。また、かりそめの暮らしが始まる。1週間くらい凌げればいいか、と思ってファストファッション店で買った寝袋を広げたら、おこさま用だった。無理やり寝た。
30.-----
生活用品を集めに高速に乗って隣町へ。慣れない買い物で、充分にものを揃えられず、とりあえずの必需品とカーテンを買った。なにもない部屋、なにもない自分を、楽しもうと思った。