美容室のドラマ

髪の毛をのばしている。
特に大きな意味はない。強いて言うなら、伸ばしてから切りたくなったから。

ショートだと1ヶ月に1回切りたくなって、でも行きすぎると破産するので2ヶ月くらいがまんして切りにいく。でも大きな変化はなくて、たまにちょっと飽きてくる。

それなら、長いところからバッサリいったほうが、ドラマチックじゃないかと思って。ドラマチックな人生って憧れるやん。こういうことじゃないというのはわかっているけど。笑

 

今通っている美容室が好きだ。

美容師さんとアシスタントさんとの息ぴったりで、すごくスムーズにやってくれるから気持ちがいい。美容師さんは無駄なことはあんまり話さないけど、聞いたこととか迷っていることには、的確にアドバイスをくれるから、納得してまかせられる。

でも、たまにびっくりするくらい返事が早いときがある。話し終わってないのに、「せやんね!」「そうしましょ!」って。もしかして適当なんかなと思う。笑 その絶妙ないい加減さが気に入っている。


美容室を選ぶときに、いちばん気にするのは居心地。

美容師さんに求めるのは、安心してまかせられるかどうか。基本不安がりな上、メガネをとるから細かいことは全然見えない。丸腰状態。だから、信頼できる人じゃないと怖い。そして、多少の強引さと適当さ。自分と同じ優柔不断なタイプな人だと、髪型一生きまらんから。

 

初めて美容室に行った時から引っ越すまで、変わるのがこわくて、ずっと同じところに行っていた。でも、引っ越したときから、いろんなところに行ってみるようになって、美容室って本当に色々だなと思い知ることになった。

1年だけ関東地方に住んでいたことがある。その時は都会の店に行ってみたくて行ける範囲のところ、下北沢とか高円寺とかオサレな店にも行ってみた。もう、THEおのぼりさんすぎて恥ずかしい。笑 結果、楽しかったけど、疲れた。田舎もんやし、緊張したんだと思う。でも、ネットで見ていつも参考にしていたお店に行ってみた時は、やっぱり違うんやなとちょっと感動した。ここも楽しかったけど、やはり気を張って疲れた。無理してもしゃあないなと思った。

一番印象に残っているのは、住んでたマンションの近くの美容室。美容室探検も疲れたし近いとこにしよーと行ったら、担当してくれた美容師さんがめちゃくちゃいい人だった。緊張しなかった。なんだかやっぱりね、幸せは遠くじゃなくて、近くにある気がしたな。知らんけど。笑 もっと早くに来とけば良かったなあと思ったけど、行ってみないとわからないことはたくさんある。

 

地元に帰って来てからは、だいぶん店を転々とした。

何回か気が合わない店があったけど、もう行かないと決めた店もある。どうしてもバイトの面接の前に行きたかったから、仕方なくいつもとは違うところへ行った時。カラーと前髪カットで、カットしてくれるお姉さんと気が合わなかった。笑

「どんな感じにしますかー?」と語尾を伸ばす系のお姉さん。アシンメトリーでこっちが短くて、、と身振り手振りで言ったら、

「OKでーす!好きですそういうのー!」とお姉さん。ひとまず安心。かと思ったら、梳かした瞬間、バッサーと切り始めた。 

ちょちょ、ちょっと待って!切りますよって言ってから切って…。怖いやん。それに、長さ、私まだ伝えてない。でも、切りはじめたらもう仕方ないし、おまかせすることに。

目をつむりながら、まあまあ切ってはるよなあ、と思いつつ、目を開けても目が悪いのでメガネかけるまでよくわからない。運命と目の前のこの人を信じるだけ。で、「こんな感じですか?」って聞かれたから、メガネかけた。

あ、短い!眉上3センチて!!

それくらい切りたい時もあるし、短いのが嫌いなわけじゃないしむしろ好き。人のも、自分がするのも。でも、その時に何が問題だったかというと、シャンプーしてもらってる時に「なんで髪染めに来たんですか?」っていう話をしたから。新しいバイトをしようと思って、それがあーでこーでスーツだから、それに合うような落ち着いた雰囲気にしたい、って話した。聞かれたから答えた。

前髪だけハッチャケたいわけない……。 

私が三戸なつめちゃんならいい。あの人はあれが可愛い、あれで正装。でも、悲しいかな、全然違うんや。しがない一般人なんや。モデル顔やないし、どっちか言うとあほ面なんや。落ち着いた雰囲気とは程遠く、小4みたいになった。

どうしたらよかったって、私は写真を見せればよかった。それか、具体的な数字を先に言うべきやった。細かく要望聞いてくれるところが多かったから、油断してた。でも、もうちょっとお互いのイメージをすり合わせる姿勢を見せてくれはったら良かったなあと思う。

私たちには、便利なものがある!人類の最大の発明の1つが!言葉でしょ!対話!コミュニケーション!我らは、人と人!!

髪の毛とハサミの先しか交わらんけども、一瞬とはいえ、それぞれの人生が交わっている。友だちになりたいんじゃない、ただ、それぞれの幸せのために、お互い力を合わせてもよかったんじゃないかな。 

って大げさに文句を言ったところで、まあ安くでしてもろたしええかーと思うことにした。新規来店のクーポンで、通常の料金より−30%円。もともと高級店でもないし。文句言うんやったら、私はもっと働いてお金持って、いいサービスしてくれるところへ行って、それ相応の対価を支払うべき。ファミレスでA5ランクの肉は出てこん。

もちろん、安くでいいサービスしてくれるところもあって、企業努力まじリスペクト。思い出話が長くなってしまったが、今まで運よく巡り合った美容室と、いつも行っているところはそういうところ。

 

髪を切ったら気分が変わるとはよく言うけれど、その通りだと思う。私は特に単純だからか、わかりやすくテンションが上がる。サラサラになった髪をずっと触ってしまう。笑 でも、切ったらいいってもんじゃなくて、美容師さんがいいサービスをしてくれるから、美容室にいる時間も気持ちよく過ごせるから、テンションが上がるんだと思う。

いつもサービスを通して元気をくれる美容師さんに、ありがとうと言いたい。