ミステリーに憧れてみる

プチアドベンチャー体験をしてきた。

とあるカレーやさんへ。

門構えがこれ。(画像の一部加工済み)


我ながらよく入ったと思う。

古民家をリノベーションしたカフェは流行っているけど、どうやらここは、そこそこの古民家そのままをお店にしているみたい。

そう、つまり、家。

某口コミサイトでは、友だちの家に遊びに行くようなお店♪なんてかわいらしい書き方がされていたが、友だちの家だってそれぞれである。門構えに多少びびりつつせっかく来たし、お邪魔しまーすと入ってみる。

ヨガとかやっていそうな雰囲気のママさん。過去の雑誌によると孫がいるらしいのでそこそこのお年か。メニューを説明してくれたが、多少顔がひきつっていた。

カレーは三種類。気分でキーマカレーを選んだ。ナンを食べたかったが、今の時期はやってないとのこと。ご飯かチャパティの選択肢。ところが、ご飯は炊けてないから30分くらいかかるといわれる。そうか、さっきのひきつり顔はご飯なくて申し訳ないの顔だったのか?興味があったのでチャパティに。

廊下を挟んですぐが厨房。厨房というより、台所といったところか。そこに柵があるのは、犬がいるからだ。おいおい、食品衛生法大丈夫かよと思いつつ、細かいことを気にしている場合ではない。

この店はつっこみどころがたくさんある。

年季の入った座布団に、傷だらけの机。

売り物か私物かわからない民族衣装。

放置された回覧板。

内容物も賞味期限もわからない謎の手作りスパイス500円。これはいつ作ったやつ?

なんとなく、いろんなことを深く追求するのはやめようと決める。ラジオで山下達郎が流れているなあと耳を傾けていると、厨房からバンッバンッと音が聞こえてきた。チャパティをこねているらしい。

楽しみだなーと、音に想像力を掻き立てられた直後、私は聞いてしまった。

「は~ぁ……」

ため息!丸聞こえ!!

そうか、さっき顔がひきつっていたのは、チャパティをこねるのが嫌だったからではないのか?

そんなことを考えながら待って、出てきたのはこちら。


本格派っぽい。

しかしあまり食べるひとに寄り添ってくれない味であった。インドの家庭の味ってこんな感じなのかなー、いや、日本人が真似した味なのかなーどうなのかなー。カレーも難しい。なんとも、ここでは味以外の印象の方が強かった。

帰る時、ママさんの顔は引きつっていなかった。ありがとう〜と笑顔で言ってくれた。それを見て少し安心したが、本心はどうなんだろうと疑心暗鬼になってしまった。チャパティこねるの嫌だったのではと。でも体験は楽しかったので、ありがとう、ごちそうさまでした。と言って帰った。

店を出て10mほど歩く。また来るだろうかと、ふと振り返ってみた。

ん?何かがおかしい。

来た道を戻ってみると、さっきお店があったはずの場所には、ただの廃墟がたたずんでいた。