春はじめ

 

あ、咲いてる!と一輪だけ桜が咲いているのを見つけた3月の終わり。やっぱり春がくるのはうれしいなあ〜るんるん〜とのんきにしていた次の日、身内から濃厚接触者認定、後、熱喉鼻咳。よく聞くやつになってしまった。

 

なるときゃなると諦めも必要かもしれないけれど、ならんほうがいい。

いったん心を乱した。普段、体調崩してもご近所さんにわざわざお知らせして回ったりしないのに、なぜ世界中からアクセス可能なSNSで発信しちゃうんだ。

たまにTwitterSNSで、発信したその先に人がいることを忘れそうなときがあって、私はそれがとても怖い。怖いのに結局は人に聞いてほしくてやってしまうんだね。矛盾。

 

だけど、リプやDMや LINE、思わぬ形で励ましをもらってびっくりした。とてもありがたいなあと思った。見守ってくれてた仲間もいた。

体調良くない時は不安や心細さもいつもより膨らんでくるものだから、人の優しさにとても助けられた。

今更ながら、少し大げさに怖がってしまったところもあったから、人にもそう伝わっていたなら心配をかけたかも。

でも、どうせただの風邪だろみたいな風潮に対しては、私はまだ疑問が残るので、これからもできる限り気をつけるつもり。

 

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なにもないビジネスホテルのベッドで、ぼーっとする。ホテルで過ごすなんてたまには楽しいかなと思っていたけど、全然楽しくできなかった。

ホテルでのある日、ご飯を受け取りに部屋を出ると、泣きながら電話している声が聞こえた。内容は聞こえてないけれど、それをきっかけに途端に気持ちが辛くなった。私には全く関係ないのに。関係ないと思えなかった。

だけど、私の辛さなど、しれている。

世の中にはたくさんの人が困難や不安を抱えていて、支えている人たちがたくさんいて、見えないところで、いろんな人がいろんな人を助けているということを忘れていた。そして私も助けられていることを。そして手の届いていないところもたくさんあることを。

ああ、また狭い視野で過ごしていたなあと思った。もちろん全てのことを考えるなんて無理だけど、ちょっと思いを飛ばせていたら、想像力を持てていたのなら、私はあの時ああしなかったんじゃないか、みたいな後悔がどっと押し寄せてきた。それは自分の手の届く範囲の話で。少しでも優しい世の中になればいいなと思っているというのに、私は優しくあれたことがあるんだろうか。

なんて、ここで愚痴っていても、なんの罪滅ぼしにもならないし、ただの独りよがりになってしまう。ちがう、やるべきはそうじゃない。

さあ、これからどうしますか、と問われている気がした。自分が、自分に。

 

私はよく間違うが、大きな間違いをしそうになったときは、ちょっと違うよ、と教えてくれる人がいつも現れる。直接的でなくとも、教えられる。仲間だったり、先生だったり、あこがれている人と関わることがあったり、かっこいい人に出会ったり。すると、いかんいかん、と思い直せる。私は、それでなんとかぎりぎり人間性を保てているんだと思う。

 

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保健所で決められている療養期間は10日間。長いかなと思っていたけど、私はまるまる必要だったし、なんならまだ寝てたい。すぐ寝落ちする。休めるなら休みたい。まあこの辺は常だけど、ほんとに人によるんだろう。

いろいろ言われているホテル療養の噂だが、私の場合は、忙しさ極まりないだろう保健所の人の電話も丁寧だったし、ホテルも過ごしやすいところに入れてもらえた。

ごはんもわりとちゃんとしていた。あったかいといいなーとは思ったけど、これ以上を現場の人に求めていいのかわからない。限界なんじゃないかなあ。

毎朝晩、看護師さんが体調確認の電話をしてくれて、毎度「何かあったらいつでも言ってくださいね」と言って切ってくれた。なんと心強かったことか。

 

誠実な人は目立たない。嫌なニュースが多いということはいくらでもズルできるんだろう。県単位国単位でありえないことが横行している。そんな中でも、人の誠実さと善意で回っているところもちゃんとある。そんな人たちに、ちゃんと休みとお金がいくようにしてください、偉い人たち。必要なところに必要な支援がいくようにしてください。

 

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元気が少し戻ってきたので、今回の記録。とはいえ、悲しいことが多すぎて元気になりにくい。でも、どうしても、どうにか、くさらずに、少しでも人に優しく、誠実になれるようにしたい。私は今それがやりたいらしい。だから、みんなもそれぞれやりたいことやっててほしい。それみてがんばる。