日々-40

 

とある7日間の日記。

 

1.-----

旅先で本を買って帰路へ着くと、鈍行の旅も様になる。急げば島へ帰れるけれど、今日は帰らないを選ぶことにした。
初めて夜の海を電車から眺める。ほぼ満月の光が、暗い海にすとんと落ちている。これを見るためだったのか、と自分の意思でない運命のようなものに憧れてしまうほど、美しかった。
宿のある駅に着くと、ギターを持って歌う青年がいた。ふと足を止めて曲の最後まで聴かせてもらう。なんだか、とてもよい時間だった。

 

2.-----

好きな町に来て観光をしない、をやってみる。ふらりと散歩する感じの。安いスーパーに寄る感じの。地元の人のふりする遊び。
単なる見た目の好みで、気乗りしない企画展に行ってみたら、とてもよかった。行ってよかったと思える体験ができた。自分の知っている、想像できる範囲なんて本当に狭い。食わず嫌いはつまらない。

 

3.-----

みんな自分がみた夕日がいちばん美しいと思っている。というメモ。

 

4.-----

早めに起きてゴミ出しに行ったら、遠くからこちらを見つめる柴犬に出会う。歩いて行くほどにしっぽの振りが大きくなる。かわいすぎる。おはようございますと人間のあいさつをして、目線を合わせておはよう。人が好きだけど、朝は誰も歩いてないんだ、との話を聞きしつつ撫でさせてもらう。かわいい。遠くに行ってしまったうちのししまるにすごく似ていて、泣きそうになってしまった。きみはマリちゃん。また会おうね。

 

5.-----

今日の夕暮れは空が黄色だった。初めて見る色。近付く台風の影響か、風がつよくて蚊が全然寄ってこない。飛ばされたのか。つよく生きろよ、蚊、わたし。

 

6.-----

台風が来るというので、買い出しの予定を早めることにした。来週は忙しくなるし、ついでに買い込むためスーパー2軒をはしご。が、欲張りすぎた。いくら日傘をしていても、炎天下歩くのは本当に良くない。
途中で見つけた図書館で涼んでいると、自分のバイブルともいえる絵本と目があって、回復した。島の生活、そういえば図書館がないのは少し寂しい。

 

7.-----

雨でも、風でも、暑くても、ここは訪れたくなる場所なんだなあと思いながら仕事をして気付く。もしかして、もう特別を日常に押し並べてしまったのだろうか。とはいえ、慣れても緊張はする。生半可に関わりたくない思いもある。今日は、お客さんとゆっくり話ができて、とてもよい時間をもらった。

 

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