日々-43

 

とある7日間の日記。

 

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買い出しのついでに図書館へ、とりとめなく自分の興味を確認した。ぽけっと歩いていると、トイレで別の船で来ていた寮仲間に出会う。島内にいるとすぐ誰かに会うから、まあそんなこともあるか、なんて気分だったが、相手は腰を抜かすほど驚いていた。確かにそもそもこの確率はものすごいことなのかもしれない、と思い直す。というか、一期一会をなめすぎかもしれない。わたしはなぜか、生きてりゃ会うべき人にはまた会えるだろう、なんて楽観的に考えているのだけど、もしかしたらもう会えないのかもしれない。楽観的というか、そんなの悲しすぎて考えられないんだ。

 

23.-----
新しく働く仲間がやってきて、いろんな話をする。同い年くらい?と思っていたら、10ほどお姉さんだった。「どうして島に?」なんて会話のはじまりは、お決まりみたくなってきたけど、この話がつまらなかったことがない。ずっとここにいる、と決めてやってくる人はあまりいないから、いつも、これまでとこれからの合間を共に過ごしていると感じる。いつだって、どこにいたって、ずっと、時間が流れていくことは変わらないのだけど、なんだかここの時間は、少し特別に思える。

 

24.-----
小さなお子さんを連れた6人のゲスト、家族でパントマイムで遊んでいた。日本語も英語も話者ではなさそうで、どう案内を伝えるか迷ったけれど、結局わたしもジェスチャーを交えて会話をすることができた。誰も1人にしない時間がうれしかった。言葉がないと言葉は伝えられない、と言葉を話すことにとらわれていたけれど、実際は言語を使った非言語コミュニケーションをしている気もしていて、ヒトの伝える/伝わる行動の不思議さ楽しさには可能性しか感じない。

 

25.----
先月訪れた企画展にもう一度来た。同じ企画展に行くのは初めて。じっと向き合って、前に見られなかったものを見たような気がして、やっぱりこの人に出会えてよかったと思った。
歩いていると楽器屋さんをみつけ、アコギの弦を買う。店構えの感じからすると、来客すら珍しかったのだろう。ここに住んでる人?と聞かれ、しばし話をする。ありがとう、またきますって言ったけどまた来るのかな。
以前から気になっていた和菓子屋さんで、変わり種いちご大福を大量に手に入れた。うきうきと帰り、ただいまーしか言っていないのに、テンション高いねと言われる。早速いちご大福を広げ、さあどれにする!と争奪じゃんけん。いちご大福はとてもおいしかった。

 

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出勤してからシフトが変更になり少し焦る。なぜなら食に困るから。移動時間にあまり食べたくないカップラーメンを島価格で買うしかない。なんて、5分拗ねたけど、気になっていた商店に入ることができてラッキーだと思う自分もいた。これも島体験。おまけに島マダムにゴーヤをいただく。ゴーヤのおいしい食べ方を教えてもらったりして、いい時間。ラッキー以上にラッキーだった。

 

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最近ハチが多い。朝起きるとトイレにハチがひっくり返っていて、夜中の寮仲間の健闘が垣間見えた。
いよいよ、夕方の風に秋が混じってきた。

 

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持参した水筒からお茶をひと口含むと、えも言われぬ違和感。茶葉が残ってたか?いや、パックで入れたから考えにくい、何が入ってるんだ、もしやこれは、いや、絶対、うわー!!!というのを脳内を一瞬で処理し、虫を吐き出した。1センチほどの見たことない虫。
飲み込まなくてよかった、が、残りのお茶をどうしようか迷う。まだひと口も飲んでいない。問題はないだろうが、浸かっていたぶん、虫の出汁が出ているんじゃないかという懸念。ただ、経済的精神的に水を買うつもりになれない。出汁の懸念と、自分の意志を天秤にかけた結果、出汁を飲むことにした。背に腹を変えた気がした。

 

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