2022年 ライブ参加記録

 

2022年に行ったライブから感想をいくつか書きました。長いです。レポでもステマでもないです。極めて個人的な感想集です。

 

 

5月14日 ザ・シックスブリッツワンマンライブ「いつまでも世界は…第9.2回」@KYOTO MUSE

2021年5月に延期となったこのイベント。また同じメンツでやろうと思ってます、から丸一年。本当にリベンジの開催。西島さんのステージには信頼しかない。
主役としてのザ・シックスブリッツもホストバンドとしての立ち姿も素晴らしかった。ライブはシックスブリッツの演奏と、ゲストを呼び込んでの演奏(しかもゲストの曲2曲、シックスブリッツの曲1曲!)。贅沢すぎる。このイベントを作った関係者、登場人物全てがかっこよかった。

ゲストコーナー1人目はsoratobiwo真伍さん。お魚フェスといつせかの話、2人の関係が垣間見えた後、歌った曲が「荒野鉄道」。そのとき私の中の何かが弾けたのを覚えている。リクオさん、片山さん(片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ)牧野さん(前田サンシャインオフィス)、登山隊長とジーザスさん(私の思い出)。ゲストとの選曲はその文脈が見えるから、自分が知っている曲もほんのりのも、さらに好きになった。音楽を一緒にやるってすごくいい。”いつか僕らが出会ったら 同じ歌が歌えるように音楽は続くよ”の真っ只中を共にすごしているのかもしれない、と思った。みっちり3時間。飽きる暇ないし、ずっと楽しいし、その空間が楽しいで溢れていてびっくりした。今全てを思い出せないのが、とてももどかしいが、全部受け取って全部私の力にしたので大丈夫。

 

8月6日 NANO WIND RUSH @京都nano

淡路島で開催予定だったこのフェスで、急遽nanoで行うことになったイベント。気になっていたフェスで、主催の方の熱い思いを読んでいたし、ふらりと参加することにした。イベントの熱量が高くて良かった。
個人的なエピソードは、「ちょっと入る勇気が出なくて諦めかけたけれど、お姉さんが入っていくのを見て私も入れました」と話しかけてくれた方がいて、感銘を受けたこと。いや、そう話しかけてくれるあなたに出会えて良かった!!と熱く話をしたのも楽しくて、とてもいい日になった。ライブハウスは音楽と人との場であって、人と人の場であって、どんな人にも開かれていてこそであって。ライブハウスが続いていくことを改めて願った。

 

8月16日 私の思い出ワンマンキャンプ @京都磔磔

毎年恒例の磔磔ワンマンキャンプ。2020年は中止。2021年は配信限定キャンプ。今年は3年ぶりの人数限定での有観客開催。やっと、無事磔磔に辿り着くことができた。
私は配信を見ながら磔磔に向かうという初めての体験をした。それもアリだなとワクワクしながら駅に着くと、ゲリラ豪雨。客として試されていると思った。

結成当時の曲を結成当時のメンバー(?)でやったり、定番となった曲も新曲もあったり、いつものようにばかばかしく、謎にかっこよく悪ふざけしていて安心した。アドベンチャーに安心などないけれど。
印象的だったのは、磔磔への道の映像がリアルすぎたこと。私の思い出はフィクションとリアル、音楽とネタのバランス感覚が唯一無二。だけど、その彼らが衣装を脱いだ映像というのは、リアル度が急に高くなって、グッと来てしまった。これはきっと脱皮を意味する、と深読みしている。

私の思い出劇場のあらすじ→

無事磔磔にたどり着いた私の思い出と客。登山隊長は会場を盛り上げておきながら、「1曲目は決まっていない!」と言い切る。不意をつくことを覚えたという隊長。そこで、不意の不意をつくというジーザス。「実は不意の不意をついて、曲順を考えてきました」というそのステージ計画は、他のメンバーには納得いかないものであった。隊長中居貴族バタやんは「解散だ!」と言って会場を出て行ってしまう。
仕方がないので、ジーザスはお取り寄せアプリでメンバーを取り寄せることにした。一度目は2015年のメンバー。二度目は2020年の私の思い出メンバー。少々ぎこちないながらも、当時の曲を演奏することでキャンプは盛り上がる。懐かしさと今のミクスチャー。しかし、アプリのメンバーには時間制限が。まもなくジーザスは1人ステージに取り残されてしまう。
一方そのころ。スクリーン上に映像が映し出される。磔磔を飛び出した3人。それぞれが衣装を捨てようとしている。しかし、3人ともやっぱり捨てられない。隊長「あかん、いく!!」
全力疾走する彼ら。BGMは「Never ending summer vacation」。たどり着いたのはここ、磔磔であった。
「ここで弾かせてください!」と再結成。その後、さらに”アルティメット化”することによりメンバーはパワーアップ。さらなるアドベンチャーの飛躍を予感させた。

 

8月27日 おとぼけビ〜バ〜ワンマンライブ @京都磔磔

一体何曲聴いたのかわからない密度の濃いステージ、一体何を体験していたのだろうという混乱も込みで楽しかった。歌詞の内容は笑えないようなテーマもあるのに。皮肉が音になって踊っているかのようだった。その時のブログ

頭をよぎったのは、おとぼけビ〜バ〜が好きと言ったって自分のしょうもない行動への免罪符にはならない、ということ。私はどちらかというと”サラダ取り分けられる”人であったからそれがずっと嫌で、社会の空気が悪いと思う以上に、それに勝てない自分の問題もわかっているから変えたい、っていうことを考えたりした。怒りも虚しさも自分のものとして持っておかないと、と思った。彼女らの姿勢を尊敬する。

 

9月4日 モモダチクラブ おっちんしよし其の拾〜KKF〜@京橋Arc

活動休止前以来の、ファンクラブイベント。ああ、やっと帰ってこれた。スムルースだなあと思った。行く前は劇的な感情に見舞われるかもと思っていたけれど、なんだか、ほっとした。そう思えたことが嬉しかった。私とライブハウスとの原点はここにあるのかもと思った。

昼、夜の2回公演でそれぞれ誕生月のテツロウさんと回陽さんがセットリストを考えたライブ。配られたのは作り込まれたフライヤー。彼らの楽しもう、楽しんでもらおうという心意気はずっと憧れだ。改めて彼らの音楽に心が躍る。2公演、被り曲ほぼなしでそれぞれの色が見えたのもすごくよかった。私が知らないころのスムルースの曲も今聴けて、スムルースの続きはこれだったのか、と思った。

月日が経てば、変わっていくことも、変わらないこともあって。けれど、スムルースとしてのスタンスは変わっていなかった。ずっと大好きでいさせてくれてありがとう。

 

9月10日 おおはた雄一ワンマンライブ @今池得三

しばらく機会に恵まれず、記録を辿ると5年ぶりのおおはたさん。久しぶりの得三。ため息しかでないくらい、ものすごく素敵な時間と空間だった。彼の声とギターは糸を紡いでいくような優しさがあって、その糸で織った布に包まれるようなあったかさが好き。初めて生でワイゼンボーンの音を聴いて、音色がほんとに美しくて、うっとりした。得三の雰囲気もあって終始おだやかで居心地が良い。歌を聴いて心が熱くなっているという幸せ。「今日がその日になればいい」がストンとその時の自分に沁みた。

 

9月23日 友部正人ワンマンライブ @京都磔磔

ずっとライブに行ってみたいと思っていたひとり。磔磔なんていくしかないでしょう。衝撃だった。実はほとんど初めて聴いた曲だった。のに、すっと入ってき過ぎてめちゃくちゃ泣いていた。言葉の奥の、心の先に触れたような気分。会ったこともない、盛岡のマスターを思って泣いて、風の中をいく少女を思って泣いて、ものすごく、人間の生を感じる演奏だった。コードだって複雑なのを多用するでもなく、ギター一本で、シンプルなはずなのに、朝の光も夜の冷たさも人の暖かさも、全部が音楽になっていた。どういうことだ。さらっと、この曲は1970年代に〜とか、90年に誰と〜とか、自分が生まれてない頃のお話をしていて、そりゃそうなんだけど、不思議な気分に。帰り道はすごく寂しかった。作品の中の人にもう会えないことが。でも、逆に、会うことのなかった人と会えているのかもしれないとも思った。

 

10月28日 DEWEY11周年 「イヌガヨvsザ・シックスブリッツ〜逆襲の卍丸〜」 @木屋町DEWEY

ああ、こうしてライブハウスで過ごす時間が私の人生にあってよかった、と心から思ったライブ。イヌガヨは最後の2曲しか聞けなかったけれど、DEWEYの扉を開けた時に音楽ががつんきて、泣きそうになった。そこに、音楽があって、人が楽しんでいて、文字にすると、それきりだが、それきり以上の光景が大好きなんだ。
急遽弾き語りとなった西島さんのステージ、ちょっとかっこ良すぎてなぜか悔しくなった。つまらないことで凹んでいた自分に。でも、その日の「ニーチェニーチェ・ミラーボール」がそのまま心にきて、すべてが大優勝な気持ちになった。西島さんの歌には覚悟と信念があって、私はその音楽を借りて自分を立て直している気がする。久々の友だちにも会えて、めちゃくちゃ元気になって帰った。

 

10月29日 DEWEY11周年企画 「全員参加!主役争奪戦!」@木屋町DEWEY

はじめて見るバンド4組、4者4様でいい刺激となった。RobotMeetRoboは迫力があって、ボーカルセリさんの声と存在感に憧れた。
ずっと気になっていたQLIPのライブを見れてよかった。「わるくはない」「上手くはいかない」「やめておきなよ」など一見タイトルは暗めかと後ろ向きに見えるけれど、曲調はポップ。曰く前向きに後向きなバンド。自他共に認める”ひねくれ”だけれど、むしろ誠実だと私は思う。例えば、「わるくはない」で”僕にいいことなんかあるわけないよ 今日も明日もこの先もきっと”なんて明るく歌い上げるのがいい。音源を買ったら、根暗な気持ちを”音楽が好き”でサンドイッチした、みたいなCDで素敵だった。

 

12月16日 Bedbugs/ザ・シックスブリッツ/TARSHI with THE SIXBULLETS/DJマンキチ @扇町paradise

なんとしても!ライブに行くんだ!という気持ちに突き動かされて行った。途中からの参加だったが、会場に入ったときの雰囲気がこの日の素晴らしさを物語っていた。

ザ・シックスブリッツの「アンティル・モーニング」は今年出会えてよかった曲のひとつ。とにかく歌の世界が好き。朝が見える。ギターソロがとても人生。「ニーチェニーチェ・ミラーボール」でアドリブで西島さんが語り歌い出した時のエネルギーがすごく重くて最高だった。音楽にも遠心力があるんだと思った、グルーヴの中だと何か起こっても誰も落っこちない。のにバンドの引力がすごい。もう地球だなと思った(よくわからない)。TARSHI with THE SIXBULLETSは音楽がキラキラとしていた。楽しいものは楽しいし、かっこいいものはかっこいい。気持ちがよかった。終演後いい音楽に包まれながら、かっこいい大人たちも最高に楽しそうにしていて、どんな形でも人生で目指したいのはこういうことだなと思った。

 

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以上、私は一体ライブハウスでなにをしているんだ、ということを、見つめ直す機会とした。

上半期は、社会の状況や自分の状況で、見送ってしまったライブがいくつかある。そのことが、自分の判断として正しかったのかと言えば、よくわからない。ライブ配信を楽しむことも覚えたが、なぜほんの少し違和感があるのか、よくわからない。好きなことを好きでいるということに、なぜ理由を求められるのかも、いまだによくわからない。
下半期は、自分の状況が許す限りライブに行くことにした。この2年半におけるあれこれを、忘れそうになるくらいに楽しい時間がある。いや、多分忘れさせてもらっている。行きたいライブが被っている!なんていう嬉しい悲鳴も聞いたり出したりして、少しずつ日常を取り戻しつつあるのだろう。まだ、必要以上に距離をとってしまったり、何かの感覚を忘れてしまったり、少し息苦しい状況を目にすることはあるけれど。

現在進行形とはいえもう辟易とする話題だが、私は忘れてしまっていいのだろうか。ライブハウスへの偏見。音楽が不要不急の代名詞とされてしまったことへの怒り。行政への憤り。自分がなにもできなかったことの虚しさ。蔑ろにしてしまった音楽に対する後ろめたさ。

私はどうしてもライブの空間とその時間が好きで、そこにしかないものに取り憑かれているから、できる限り現場にいたいという気持ちでいる。だから、ライブハウスが続いていくことを願う。今も生き延びてくれてありがとう。その場を守っていてくれてありがとう。と、思う。私のためじゃないけどね。まだ行きたくても行けない人たちやこれから行きたいと思う人たちのためにも。社会のため、場を必要とする全ての人のために。

これは音楽だけの話じゃない。あらゆる文化は脆くて、文化が守られること、守ることはものすごく難しいから、何事も当事者であることを忘れないでいたい。不思議だ。生きるためにあるものなのに、どうして、後回しになってしまうんだろう。

 

 

2022年はこんな感じでした。たくさんの人に感謝。

来年もいろんなライブに行きたい。どんな年になるのかわからないけれど、わからないからこそまた。

いつか出る側もやりたい。やらせてください。意志を残して2022年を締める。

ありがとうございました。

 

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わたしの2022年